第参回ハコボレ落語研究会のこぼれ話①
皆さんこんにちは。早いもので三月ですね。
さて今日は2週間後に迫った第参回ハコボレ落語研究会のお話です。
2月26日。阿倍野でハルカス寄席に行ってきました。予約なしの当日発行のチケットだけで会場は熱気に包まれ超満員。年配のお客様の中にポツンと私がいました。私のお目当ては、高校の落語の授業でお世話になった講師の先生。卒業してから始めて聴きに行きました。林家染左(はやしやそめざ)師匠は「兵庫船」とい落語をかけてくださりました。この演目は桂米朝師匠のカセットテープを持でずっと聞いていたので、すぐにわかりました。寄席は始まるまで演目がわからないのがワクワクしますよね。喜六と清八が船旅の途中、乗客と行う「なぞかけ」の掛け合いがとても心地よく、昔の言葉遊びは見事だなと感心しました。
そして二席目は染佐先生の弟弟子の林家染吉(はやしやそめきち)師匠は「禍は下」という演目をかけてくださりました。これは初めて聞きました。調べてみると珍しい演目だそうで。上方落語では「禍は下」東京の方では「権助魚」と言われるそうです。
旦那が仲間と網打ち(網で魚を捕まえる遊び)をするというので小僧の定吉と出かける。しかし旦那は網打ちではなく、浮気相手の元へ遊びに行く。散々遊んだ後に自分は泊まって行くからと、定吉に小遣いを渡して妻に魚のお土産として買って帰るように言う。定吉はメザシや ちりめんじゃこ。かまぼこを買って帰ることに。結果、女将さんは網で取れた魚ではない事を不審に思い、嘘がバレてしまうというお話でした。
旦那、定吉、二人の女性の演じ分け。一人でどんどん色が変わっていく様は落語の醍醐味で。噺家になりたかった頃を思い出しました。きっとあの瞬間を生きる面白さが詰まっているのだろうと。いつか挑戦してみたい話の一つになりました。
そして最後は旭堂小南陵師匠(きょくどう こなんりょう)の講談。女性の上方講談師です。最近は東京の方で神田松之丞さんの噂を聞いていたので講談を生で聴きたいと思っていました。講談も授業で習って以来、知ってはいるものの聴くのは初めてで。張扇(はりせん)を叩いて緊迫させる空間に圧倒されました。真田幸村が徳川家康を打ち取ろうとする瞬間の畳み掛ける言葉と勢い。綺麗でありながら強さ感じる。その息をつかせぬ気迫に痺れました。
「講談」をまだ見た事、聴いた事のない方が特に我々世代では多いのではないでしょうか。だからこそ一度「生」で体感して頂きたいです。
そこで朗報です。大阪の此花に新しい講談の小屋「此花 千鳥亭」が1月3日にオープンしたそうでございます!日本の伝統芸能を高校で学んできた身としては、これは一度行ってみたいですね。もしよかったら一緒に聴きに行きましょう!!
実はこの三席でお時間は約一時間。場所も天王寺の阿倍野ハルカス9階「SPACE9」とアクセスも良し。内容もとても充実した時間で、会場を去るときは暖かい気持ちになりました。もっと同年代の方にも落語や講談。日本の古典芸能の面白さを伝えて、輪を広げて行きたいですね。
このハルカス寄席は毎週火曜日に開催されます。
もしよかったら覗いてはいかがでしょうか?
長くなりましたがここからが我々ハコボレの宣伝で御座います。
上記でお伝えした阿倍野ハルカスの「SPECE9」で5月にハコボレの第3回本公演を行います。また近くなりましたらご案内いたしますね。そして二週間後に、我々ハコボレも別の会場で落語研究会を行います。
『第参回ハコボレ落語研究会』~落語から演劇へ
毎年冬から春に変わるこの季節にはハコボレの落語を聴こう。そう思ってもらえるために、一年かけて各地を旅して修行を積んで帰って来ました。第壱回は落語を一席。第弐回は落語を二席。今回は落語を一席と二人芝居を致します。毎回色や形を変えて行ってきたこの研究会で自分の「やりたい」が見えてきました。いつかホールで落語を行うためにはこうして一歩ずつ進みます。いつだって新しい可能性を探して、短い新作を書きました。上演時間は合わせて1時間弱です。
落語は前田が、演劇の出演には『はこづめ』東京公演で参加した、岩田光風を招きまして。阿倍野長屋という劇場ではない空間で創作します。今回あらたなスタートを切れる予感がしております。公演時間は以下の通りです。
落語演目「反魂香」(はんごんこう)
演劇演目「たちきり」
日時
3月13日(水) 18:00〇/20:00〇
3月14日(木) 15:00△/18:00〇/20:00〇
料金:1500円
会場:阿倍野長屋
各回10名程度のお席で御座います。有難いことに、若干お席の方も少なくなってまいりました。まだ13日はどちらも余裕が御座います。密度の濃い時間をお届けしますので、どうか覗きに来てくださいませ。
ご予約はこちらのフォームからお願い致します。
(絵/デザイン)馬詰峻
これから残り二週間。誠心誠意作り上げます。
飽きずに覗いてくださいます事を願います。
今後もハコボレを何卒ご贔屓に。
前田隆成