ハコボレ日記

演劇企画ハコボレ 前田隆成のこぼれ話

東京公演まであと5日。宣伝美術のこぼれ話。

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 開演まで残り5日。少しでも知って頂こうと更新を続けます。劇場で皆さんがお手にする全ての製作物を手掛ける男がいる。旗揚げより関わる「ハコボレ」構成員。馬詰峻についてのお話を。彼はきっと記事を書かれるのは好まないだろうが。それでもお伝えすることにした。

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写真/デザイン 馬詰峻 被写体 岩田光風

 

  前記事でも書いた通り、彼とは高校からの付き合いだ。在学当時は特別仲が良かったわけではない。卒業後に彼がデザインの道に進んでいると知り、旗揚げ公演の『ハコイリ』の宣伝美術の製作依頼を頼んだ。全てはそこから始まった。

 始まって以来一貫して、宣伝美術のテーマは「取って置きたくなる広告」だ。劇場への案内や詳細情報のわかりやすさはもちろんだが、何より「忘れられたくない」という想いが強くあった。 毎日全国で数多く開演する演劇。そんな中で埋もれないように考えた結果、折りたためばブックカバーとして利用できる宣伝美術を製作することに決めた。小説という媒体が好きなので、旗揚げの時から一貫して「文庫本」のブックカバーをモチーフにした宣伝美術を作っている。さらに、チケットは栞に。物販には上演台本と小説が掲載された文庫本。劇場に来て初めて完成する仕組みだ。

 

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 馬詰峻は私の頭の中にある「創りたい、届けたい物」を現実に形にしてくれる。なんだか魔法使いのような存在だ。彼が居なければ、きっと旗揚げの一本でハコボレは幕を閉じていただろう。今となってはそれくらい大きな存在だ。

 私が馬詰に『ハコがまゑ』の公演終わりの帰り道「大学卒業したらハコボレから手を引くのか」と問いかけたら、「やめへんよ。ハコボレが終わるまで」と言ってくれた。普段から口数少ない彼がそんな事を普通に口から零したのだ。嬉しくて泣きそうになった。今後も続けようと誓った。同時に彼を絶対に世に広めるんだと強く決意した。

 それから一年経ち、『はこづめ』のデザインの数々。しっかりと段階を踏んで成長した洗練され製作物の数々。紙質へのこだわり、透けるチケットの栞。宣伝写真。一緒に考えて、依頼した出来上がるものに毎回ワクワクして胸が高鳴る。早く皆さんにもお披露目したい。ハコボレらしさは彼が創っている。

 

 

 娯楽や芸術が大量に消費される時代。演劇とは不便で、近寄りがたいとも何度も言われてきた。「映画のなかったころの文化でしょ。」とも言われたことがある。それでも我々は、劇場へ足を運んでくれる方に、作品の中身はもちろんだが、始まる前から少しでも楽しんでもらいたい。公演当日の開演前にお客様が紙を折る作業をしているのを見ると嬉しくなる。他でない「ハコボレ」を選んでくれた貴方に、コレクションしたくなるような、こっそり誰かに教えてくなるような製作物をお渡ししたい。

 

 ハコボレの宣伝美術(劇場チラシ)チケットの栞。文庫本。パンフレット。宣伝写真。CDジャケット。WEBサイトの編集まで全てを一人でこなしている。総合デザイン 馬詰峻の集大成をぜひ劇場で手に取ってください。五日後、劇場でお会いしましょう。

 

  彼に何か製作物のご依頼やご相談があれば、お気軽に下記のサイトの「あとがき」か、「作者紹介」の馬詰峻の欄よりご連絡ください。

hacobore.weebly.com

ticket.corich.jp

 

次回は二日後。『はこづめ』最後の記事になります。