ハコボレ日記

演劇企画ハコボレ 前田隆成のこぼれ話

『はこづめ』最後のこぼれ話

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本番まで残り三日。本日最後の製作物を創り終えました。明日、東京へ向かいます。

 

 この通信がきっと誰かに届いている事を祈って『はこづめ』最後の文字を打ちます。ハコボレを知ってもらうために『はこづめ』の記事を書いて。劇場、俳優、音楽、映像、小説と全ての手札をお見せしました。最後に前田の願いを込めてお話しを。

 

 演劇に魅せられて足を踏み入れて高校3年間と卒業してから4年で合計7年。高校演劇の大会で自分の書いた脚本で敗退した時に、自分の作品は絶対に面白いと意固地になって、悔しさからこの道を進むことを決めた。

 自分の一粒くらいの才を信じて演劇にしがみついた。どうしようもない私だ。きっと芸術というほど高尚なものではないし、しかしエンタメとくくられるのも腑に落ちない。人気が欲しいだけなら他の道を選べばいい。それでもここに立つ理由はなんだ。「観た人の人生を救う。幸せにする。豊かにする。」そんな大それた事はわからない。受信者は常に自由だ。私は、貴方の忘れられない一枚の記憶になるために舞台を創る。その想いが伝わったかはわからない。拍手の熱がすべてを物語る。その感覚が好きだ。

 

 聞こえてますか、見えてますか。

 今回の物語の舞台となる『屑鉄の星』宇宙の階級で言えば最下層のゴミの星。やりたいことで伝説になりたいと願う廃品回収屋。天才にはなれないが自分の才能を信じたい科学者。どこまでいって自分を認められない作家。全て私の身から零れ堕ちた錆だ。根本の想いを三人に託した。生きづらい世の中。生まれ育った環境が違えど。負けたくないと立ち上がる。最果てを目指して叫ぶ。東京という街に、これから続くハコボレの最初の爪痕を刻みに行く。何かを叫びだしたい人へ。何度でも立ち上がる人へ届けばと。

 

この通信を受け取った画面の前の貴方へ応答願います。 

大阪で『はこづめ』ご覧になられたお客様や、既に東京公演をご予約いただいているお客様。今回は観に行けないけれど、我々を応援してくださっている皆様。など様々な人がいる。私は皆さんから、「楽しみにしてる」や「待ってたよ」など暖かい応援を頂いた。こんなに嬉しいことはございません。この言葉に幾度も救われてきました。

最後に「ひと声」だけ、自分の大切な人へお伝えしてくれませんか。「ハコボレ」という演劇を創る人達が居ることを。「面白そう」でも「よくわからないが」でも結構です。どうか「はなしの種」にしてください。種を撒くには少々遅すぎたかもしれません。それでも励ましの声や想いが繋がって花開くことを信じて。

 

もしも、観劇を迷っているなら。どうかこっそり覗きにきてください。

我々が貴方と同じ空間に生きれるのはたった三日間だけ。とても儚い時間です。

東京という街で数ある劇場と演劇の中から、この公演を選んでくれたお客様に。

「ハコボレの東京初公演を観た」そのことを誇れる日が来ることを約束します。

 

どうやら通信はここまでになりそうです。応答がありますように。

我々ハコボレは劇場で三日間だけ生きています。

どうかお会いできますと。

 

主宰 前田隆成

ticket.corich.jp

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 デザイン/馬詰峻 被写体/前田隆成