ハコボレ日記

演劇企画ハコボレ 前田隆成のこぼれ話

大阪・東京『はこづめ』へ出演する者達のコボレ話

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こんばんは。本番まで残り七日。本日も稽古が終了しました。

 第0回公演のひとり芝居から始まり、二人芝居、三人芝居と数を重ねて。素敵な俳優と舞台に立ってきた。高校演劇での出会いから始まりあの不思議な時間をそれぞれの高校で送り、舞台に取り憑かれた人間の一人である。飢えている人間や、欠落、何かが足りないと思っている人間が好きだ。さて今夜は、ハコボレの出演者のお話を。

 

まずは大阪公演の出演者。鈴木達也(スズキ タツヤ) 

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1997年8月9日生まれ。新潟県燕市出身。2016年に立命館大学入学と同時に演劇を始める。劇団月光斜で多数の舞台を経験する。2018年コシヒカリのナナピカリの立ち上げに参加。

 

 彼との出会いは二年前。以前の記事で書いた、矢倉明莉監督の撮影現場で共演した仲だ。彼は大学の劇団に疑問を持ち脱退。公演が終わって居場所を求めていた時に、たまたま私から電話がかかってきたと言う。一緒に芝居を作った中で、今回の作品に一番合うと思いオファーした。鈴木と話した時に「芝居がしたかったんすよ」と彼の眼の奥が光ったときには誘って良かったと確信した。脚本に対する読み込みが深く、理詰めで物事を考え、自分の役割を適格に果たす。私のオーダーにも時間はかかるが最後には必ず応えてくれた。驚いたのが、彼は初主演だという。三人芝居という密度の濃さの中で堂々と『はこづめ』の主演を立派に果たしてくれた。

 東京公演で降板したのは、彼自身の大学の学業と公演のスケジュールが合わなかったところが大きい。卒業後に芝居を続けるかを悩んでいるようだが、個人的には今後も続けて欲しいと願っている。成長した彼とまた共に舞台に立ちたい。

彼から受け継いだ役を私が精いっぱい果たそうと誓う。

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大阪公演 終演後の記録

 

続いては東京公演の出演者、岩田光風(イワタ コウフウ)

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1997年10月4日生まれ。大阪府立淀川工科高校卒業後、帝塚山大学へ進学。高校演劇部時代のコンクールで大阪府大会へ出場した。近年の舞台では劇団祝人の「その鉄塔に男はいるという」が最後だ。

 

上記、鈴木達也に代わって、今回東京公演からの参加。片山と相性が良い俳優を探していて、彼の高校演劇の同期ということで電話を掛けた。岩田は『はこづめ』の大阪公演を観てくれたらしく、観劇後に「この舞台やってみたい」と友人と話込んでいたそうである。そんなことは知らずに突然電話をかけてオファーした。電話口でも向こうの高揚がわかりこちらまで嬉しくなった。

 高校卒業後にしばらく芝居を離れていて久々に舞台に立つそうだ。しかしそのブランクなど感じさせない感の良さを見せる。彼自身が久々の演劇を楽しんでおり、真摯に取り組んでくれている姿勢は好感が持て、私も芝居を新たに好きになれる。稽古場でワクワクさせられるのと同時に負けてられないと焦りを感じる程である。思い切りの良さや笑いの間の取り方センスが非常に良い。大阪とは役が変わって私自身では見つけれなかった引き出しをどんどん開いてくれる。東京でもその大柄で骨太な肉体を存分に活用して圧倒的な存在感を放ってくれるだろう。どうかお楽しみを。

 

そして、片山直樹(カタヤマ ナオキ)

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 1996年10月27日生まれ。大阪府立淀川工科高校卒業。近年の出演に、阪元裕吾監督の「ファミリー☆ウォーズ」やレトルト内閣の「まつりGORIN」などがある。

 

今回の公演は彼無しでは成立しないだろう。出会いは高校演劇。私が客席に座っていて、彼が大阪府の大会で脚光を浴びている姿が目に焼き付いている。同年代で関西の高校演劇界で彼の名を知らない者は居ないと言っても過言ではないくらい、在学中の演技力は他を凌駕していた。

 そんな彼に声を掛けて3年。というのも、旗揚げ当時より、大学や家庭の事情で出演を断られ続けたためである。彼自身はとても気にしているようだが、今となってはどうでもいい。そのおかげで一人芝居を経験できたのだから。三年越しにようやく舞台で会話ができる。私は嬉しいのだ。

 上手いといわれチヤホヤされ続けてきた彼もスランプを起こしていた。小器用さが邪魔をして次のステップに上がれないという。今まで誤魔化していた上手さや見せ方は年齢に追い付いて周囲の俳優と重なり光が薄れているようにも思える。そんなストレスを抱えている彼にハコボレとして最大限に生かせる脚本を用意した。彼に宛書いたこの本を大阪を終えてさらに磨きをかけている。東京よ、彼の才能は錆付いていない。4年前に私が彼に魅せられたように、どうか客席に座る貴方に届けばと。

 

 

そして私。前田隆成(マエダ リュウセイ)

自分には才能があると思って走り出した。今は分からない。そんなもの最初から持ってなかったかもしれ無い。天才にはなれない自分が、そうでありたいと足掻くことしかできないので。未だに何者でもありはしませんが、ここから始まります。

どうか。どうか。七日後にお会いしましょう。

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